ある日の工房 婚礼タンスのお直し

府中家具の館の工房では毎日、お客さまの大切にしてきた家具の修理屋、オーダーメイド家具の製作などを行なっています。

 

昭和の時代からから府中家具を作り続けてきた工房です

こちらの工房は、昭和の時代より婚礼家具の棚の製造よりはじまり、製材された木材をカット、研磨し、家具を組み立てて、塗装する大方の木工家具製造を行ってきました。昭和から平成にかけてはほかの府中家具の製造元と同じように、婚礼家具が中心でしたが、現在はダイニングテーブルやダイニングボードなどの洋家具を主に製造しています。

 

製造工程の紹介

2017年8月9日に、職人が作業していてお見せすることができる工程をご紹介いたします。そのほかの工程は追ってお伝えいたします。

超仕上げ

素材の仕上げ工程の一つで、最終的な研磨を「超仕上げ」と言います。これは、砥石によるかんな仕上げで、薄く木材の表面を削るために行う工程です。見てください。この薄皮を。

機械が削ってはくれますが、薄く綺麗に削りあげるには、砥石の状態の確認や設定の確認を入念に行う必要があります。そのため、そばに職人が付き添い、木材の投入から取り出しを行い、検品もその場で即座に行います。

接着

木の特徴として貼り合わせがきれいに行えることがあります。当工房でも木を貼り合わせをおこなっておりまして、木組みをするなどして、接着剤で貼り合わせます。このとき、万力を使って適切な位置を押さえつけます。この位置がたいへん重要で、接着の精度に大きく関与します。

たくさんの万力があり、接着のときの固定に多用します。

 

思い出の詰まった大切な婚礼家具の修理(広島県三原市のお客様からのご要望)

広島県内(福山市、三原市、尾道市、三次市、庄原市、広島市・・・)はもちろんのこと、岡山県や島根県など県外のお客様から府中家具を中心とした家具の補修のご依頼をいただきます。取材した当日に、長年使ってこられ傷みがある婚礼タンスが広島県三原市のお客様より工房に運ばれてきました。こちらは取っ手部分が外れ、表面の傷や、突き板の剥がれが多く見られました。

艶やかな姿が蘇った婚礼タンス

写真のように、剥がれた箇所はもちろんですが、全体的に塗装を施し、元のように艶やかにしあげました。取っ手も同系統の色のものを取り付けました。

これからも技でお客様の要望にお応えします

今回、婚礼ダンスをお客様の要望に従い、もともとの形に近い形で復元を行いました。慣れ親しんだ家具を、明日からの生活に使い続けたい、そして次の世代に引き継ぎたい。そのようなお気持ちに寄り添い、技術をより研ぎ澄ましていきたいと思います。